第3章 歴史的な感染症の比較考察

第3章 歴史的な感染症の比較考察

 

はじめに感染拡大の背景について過去と現在を比較する。過去の感染症では、戦争や侵略、大航海時代の移動、貿易などによってさまざまな地域に感染症が持ち込まれ、感染が拡大した。当時は国をあげて対策が行われていなかったため、感染防止対策が確立していなかった。

ペストでは、貿易によって感染が拡大し、ネズミに寄生するノミを介して感染した。病気の原因を神の怒りの結果であると考えられ、死後の魂の行方は当時の人々にとって重大な関心ごとであったため、死後の救済をひたすら願った。また、疫病を背景に、骸骨の姿をした「死」がいかなる身分・年齢であろうと迎えに来るという絵画が多数作られた。

スペイン風邪では、WWIと重なり、兵士の移動に伴って感染が拡大した。当時細菌は発見されていたが、ウイルスは発見されていなかったため、感染症(ウイルス)という認識が薄く、ただの流行り風程度の認識であった。

現代の感染症では、国をまたぐ旅行や、貿易、国内では人口の多い都市部で拡大した。個人で海外旅行ができるようになり、世界的に流行した。

各国の海外に行くのを禁止する時期はバラバラであったため、対策の遅れた日本では多くの感染者を出した。政府が早めに対策をしていたら、今より感染が抑えられたであろう。

日本では、大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号で感染が拡大した。このクルーズ船は流行地域周辺の香港によっており、感染者を乗せたまま日本に到着してしまった。船内で無自覚の感染者が移動したり、共同の食堂を使ったりして、感染が拡大した。

次に現在の新型コロナウイルスと過去の感染症を比べて、技術や対策の面で変わった点、変わらない点について述べる。

変わった点については、技術の発展でアルコール消毒液や質の良い石鹸、マスクなどが簡単に手に入れられるようになり、スマートフォン新型コロナウイルス接触確認アプリ“COCOA”が使え、SNSなどで情報が手に入り拡散出来る時代になった。

また、国で規制や制限をかけたりするなど国際社会において有効的な政策がとれるようになった。

一方で変わらない点もある。日本では主に、感染症の対策の仕方(手洗い、マスク、隔離など)は過去と比べても同じである。スペイン風邪でも、第一波に比べて第二波の方が感染率は高い。新型コロナウイルスでも第二波の方が感染率が高く、これにはウイルス突然変異を起こしたからであると言われている。特に若者は発症しても重症になりにくいため、若者が重症化しやすい高齢者に感染させるケースが多く、それに伴い感染者が増加した。

また、第二波で感染者が増加したのは第一波では軽症で検査の対象とされず見逃されていたような人たちが、検査を受けているからではないかと考えられる。

そしてスペイン風邪については、医療崩壊などが起こっていた。現代でも新型コロナウイルスによる医療従事者への感染拡大や、負担の増加などで十分なPCR検査が受けられない患者が続出している。また、感冒に某ミルクキャラメルといった広告のデマがあったように、現代の新型コロナウイルスでも、トイレットペーパーが無くなるなどといった多くのデマが流れている。

これらをふまえて今後私達がすべきことは、国を超えて対策することである。現状、新型コロナウイルスに対する各国の対策は統一性がなく、危機意識の差や、宗教的な習慣などで、原因で感染が拡大した。したがって、対策する時期や内容を、国同士で合わせることが必要だ。その為に、WHOが率先して各国に警告や掲示をすることにより、統一性ができ感染が抑えられると考える。

アメリカの大統領ドナルド・トランプ氏が新型コロナウイルスに感染した事も、危機感の差や、政治的半面も含まれていると考えられるだろう。また、国の判断で感染対策を行ったとしても個人のレベルで対策を進めるべきだ。

新型コロナウイルスの流行で、経済的損失が増え、多くの国の政治や、政府は混乱状態に陥ったと言える。日本の経済対策として、全国民に一律十万円の支給が行われたが、結局多くの人が貯金に回すなどしており、現在の不景気を少しでも回復できているのかはわからない。だが、新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなり収入が少ない人にとっては、いい政策だったのだろう。今後も景気はどうなるかわからないので、対策を考えていくのが必要だ。政府の対策は今後の影響にもつながってくることから、やはり国同士が統一性をもって対策することが重要であろう。

 

 

 

 

 

第4章 教科書記述の現状と提言 

 

第1節 各教科書出版社に見られる感染症の記述

 

山川出版社実教出版社、帝国書院、東京書籍(以下 山川、実教、帝国、東書)の教科書を比較した[1]

 まず、単純に感染症についての全体的な記述量を比較した。その結果、多いものから東書、帝国、山川、実教の順で、東書が最も多い記述量であった。また、ペスト、天然痘スペイン風邪それぞれの記述の有無については以下の表のとおりである。

 

ペスト

天然痘

スペイン風邪

東京書籍

帝国書院

×

山川出版

×

実教出版

×

×

[1] 各教科書の情報

このことから、

 

 次に、各出版社の記述を感染症ごとにみていく。まずはペストである。ペストに関しては、すべての教科書の共通点として「14世紀から広がっている」と表記されている。しかし、東書と帝国は「17世紀にも流行している」と17世紀に流行していたことにも触れている。また、東書、帝国、山川はペストがきっかけで起こった、農民反乱などの社会的不安について書かれているが、帝国、山川は戦争も絡めて説明している。

 続いて、天然痘である。天然痘については、教科書ごとの違いはほとんど見られなかった。どの教科書も天然痘がヨーロッパからもたらされていたこと、先住民の人口が激減したことの二点に触れられていた。ただし、

最後に、スペイン風邪である。スペイン風邪についてはどこの出版社も記述がない。その理由として、私たちは以下の2つの理由があると考えた。一つ目は、詳細な情報がなく、不確かであるのではないかということ。実際に私たちがスペイン風邪について調べた結果、多くの情報が混在していたが、それらの大半が信憑性に欠けるものであり、それについて教科書に記述するのは難しいことだと考えた。

二つ目は、教科書に載せる内容量の関係で記述ができないことである。実際に各出版社の特色を比較して調べてみた結果、各教科書は政治史を中心に扱っていた。そのため私たちは、各教科書にスペイン風邪について記述するスペースがなかったと考えた。

このように、5つの出版社を比べた結果、記述について偏りがある出版社と多くの出来事を絡めて記述してある出版社がある。感染症は、私たちの体のみならず、社会的にも多くの影響を与えている。実際に、現在流行している新型コロナウイルスは、現在のグローバル化もあいまって、世界的なパンデミックによる経済的、社会的な悪影響が問題視されている。そのため、私たちは感染症について出版社が教科書に記述する場合は、その感染症によって社会的、経済的な影響など、多くの要素を絡めて記述するべきだと考える。

 

終章 まとめ

 

 今回のレポートを作成するのにあたり、2つ学んだことと、考えたことがありました。

1つは、レポートを作成するのにあたり、いままで身につけてこなかった力や技術を学ぶことができたことです。技術の例の1つとして「直接引用」と「間接引用」の違いや、使い方を知れたことです

また、レポートを作成するのにあたり、情報を読み取る力である「読解力」や、わかりやすく人に伝えるための「表現力」も自分なりに身につけることができたと感じました。

 2つめは、グループワークでの意見交換や他者を理解させるための「説明力」などを養うことができたことです。

私はこのブログを作成するのにあたり、感染症の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」への見方が大きく変わりました。以前は感染拡大地域のニュースを見て身の危険を感じていましたが、実際に今回の授業で過去の感染症と比べて学ぶことで、「医療崩壊の危険性」、「ワクチンの製造」など普段知ることができない視点から見ることで改めて感染症の恐ろしさを知りました。また、それと同時に歴史から学ぶことも大切であると感じました。

 以上の2つの学んだことと、考えたこと。歴史を学んでいかすこと。これらのことを自分の糧として、これからの生活に生かしていき、生涯に渡って学んでいこうと思います。

 

 

 

 

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